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高血圧の予防策を徹底解説!
高血圧を予防する方法は?

血圧が少し高めだけど、高血圧にならないようにするにはどうすればいいのか?
本記事では、高血圧を予防する方法について詳しくご紹介します。

目次
この記事の監修医師
八田内科医院 院長、京都府立医科大学臨床教授、日本高血圧学会学術評議員
八田 告 先生

血圧が高めの時から生活習慣の改善が必要

高血圧と診断されないが、正常血圧でもないことを「正常高値血圧」や「高値血圧」といいます。
実はこのような方にも血圧管理の観点から「生活習慣の改善」が推奨されています。

正常血圧
120未満 / 80未満
(mmHg)
適切な生活習慣の推奨
1年後に再評価
正常高値血圧
120-129 / 80未満
(mmHg)
生活習慣の修正
3-6ヶ月後に再評価
高値血圧
130-139 / 80-89
(mmHg)
生活習慣の修正 / 非薬物療法
低・中等リスク
概ね3ヶ月後に再評価
十分な降圧がなければ生活習慣の修正 / 非薬物療法の強化
高リスク*1
概ね1ヶ月後に再評価
十分な降圧がなければ生活習慣の修正 / 非薬物療法の強化と薬物療法を開始
高血圧
140以上 / 90以上
(mmHg)
生活習慣の修正 / 非薬物療法
低・中等リスク
概ね1ヶ月後に再評価
十分な降圧がなければ生活習慣の修正 / 非薬物療法の強化と薬物療法を開始
高リスク
直ちに薬物療法を開始

*1) 高値血圧レベルでは、後期高齢者(75歳以上)、両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞がある、または未評価の脳血管障害、蛋白尿のない慢性腎臓病、非弁膜症性心房細動の場合は、高リスクであっても中等リスクと同様に対応する。その後の経過で症例ごとに薬物療法の必要性を検討する。

※日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019より作図

高血圧における生活習慣の改善とは?

高血圧における生活習慣の改善は主に以下の項目です。ここでは、それぞれの具体的な方法についてご紹介します。

生活習慣改善のために有効な取り組み

塩分制限
高血圧の生活習慣の改善において塩分量を減らすことは何より重要です。1日あたり6g未満にすることを目標とします。
栄養素と食事パターン
カリウムはナトリウムを排出する働きを持つため、積極的に摂りたい栄養素です。特に野菜、果物に多く含まれています。
適正体重の維持
肥満と高血圧発症の関係性が強いことは、多くの研究で発表されています。BMI※が25未満になるよう、体重を管理しましょう。

※BMI=体重(kg)÷身長(m)2

運動
有酸素運動の降圧効果は各種研究で報告されています。運動は定期的に(可能であれば30分以上持続)無理なくチャレンジしましょう。
節酒
多量の飲酒、長時間にわたる飲酒は血圧上昇の原因のひとつ。エタノールで男性は20mL〜30mL/日(ビールは中ビン1本)以下、女性では10~20mL/日以下に制限しましょう。
禁煙
1本の紙巻きタバコで、15分以上血圧上昇が持続します。高血圧だけでなく動脈硬化、がんの危険因子でもあるので、百害あって一利なし。

減塩

日本人の高血圧の最たる原因は、食塩の過剰摂取だと言われています。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020)」では、一般成人の1日における食塩摂取の目標量を男性で7.5g未満、女性で6.5g未満としていますが、令和元年の調査によると、一般成人の塩分平均摂取量は男性で10.9g、女性で9.3gといずれも基準を超えている状態です。
日本人において、減塩は高血圧の患者さんだけに必要なものではないといえます。日本高血圧学会は高血圧の人に対して1日6g未満の塩分摂取を推奨しています。
この状況を脱するために、まずは食生活を見直し、塩分の多い食品を控えることから始めましょう。

出典:高血圧治療ガイドライン2019

日本人が好むかまぼこやちくわなどの練り製品、漬物、味噌汁などはとくに塩分の多い食べ物なので、少しでも減らすように心がけましょう。
食べるのを止めるのではなく、食塩の多い食べ物は半分の量にするなど、日々の食事の中でいつもより少し減らすだけでも効果があります。
塩分控えめの食品を選ぶこともひとつの減塩の方法です。日本高血圧学会は適正で美味しい減塩食品の普及を目的として、「減塩食品リスト」を公開しています。

栄養素と食事パターン

野菜や果物には多くの栄養素が含まれていますが、中でも高血圧の予防に効果があると言われているのが「食物繊維」と「カリウム」です。
食物繊維とカリウムには、余分なナトリウム(塩分)を体外に排出する作用があると言われています。
どちらも野菜や果物に含まれている栄養素なので、普段から多めに取り入れることを意識してみましょう。

ただし、カリウム制限が必要な腎障害のある方は、野菜や果物の摂取については医師とよく相談しながら注意して行ってください。

研究によると、以下のような食品の組み合わせが血圧に良いとされています
  • 野菜・果物・低脂肪乳製品が豊富で、飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事
  • 野菜・果物・低脂肪乳製品が豊富で、飽和脂肪酸とコレステロールが少なく、塩分が控えめの食事
  • 地中海食やノルディック食などオリーブオイルや多価不飽和脂肪酸が豊富に含まれる食事
  • 魚介類、穀物、野菜、果物、豆などが豊富で肉類を控える食事

出典:高血圧治療ガイドライン2019
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf(データアクセス日:2022年6月23日)

適正体重の維持

数々の研究によると、BMIが高いことや体重の経時的増加は高血圧のリスクであると言われています。BMI※が25未満になるよう、体重を維持しましょう。
※BMI=体重(kg)÷身長(m)2

とくに内臓脂肪が多い人は、高血圧に要注意です。
内臓脂肪が多いことで血管壁に脂肪が沈着し、過剰なナトリウムや脂質の影響でドロドロになった血液を、脂肪によって圧迫された細い血管を通すために心臓に大きな負荷がかかり、全身に血液の流れが滞ることで血圧が上昇してしまうと考えられています。

家庭で内臓脂肪量を正確に測るのは難しいですが、ウエスト周囲長が男性85cm, 女性90cmを超えるとメタボリックシンドロームの診断基準のひとつを満たします。

運動

できれば毎日30分以上(または、週180分以上)、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動を行いましょう。水泳や自転車などもおすすめです。
ただし、高血圧が重度の方や、心臓や脳に病気を合併している方は、運動内容について医師と相談してから行うようにしましょう。

節酒

アルコールには血管を広げる作用があるため、一時的に血圧が下がると報告されていますが、毎日アルコールを摂取したり、摂取量が多くなると、逆に血圧が高くなってしまいます。
普段からお酒を飲む人は、飲む量や時間を決めたり、休肝日を作るなどの工夫から始めてみましょう。

出典:Puddey IB et al. Lancet 1987; 1(8534): 647-51

成人男性の適量
(エタノールが20mL~30mL/日)
  • ビール中ビン1本
  • 缶チューハイ350mlを1本
  • 日本酒なら1合
成人女性の適量
(エタノールが10~20mL/日)※男性の半分
  • ビール中ビン0.5本
  • 缶チューハイ350mlを0.5本
  • 日本酒なら0.5合

出典:高血圧治療ガイドライン2019

禁煙

吸っている方は、禁煙をしましょう。
タバコに含まれるニコチンには強力な血管収縮作用があり、具体的には1本の紙巻きタバコで、15分以上血圧上昇が持続すると言われています。

出典:Groppelli A, et al:J Hypertens. 1992;10(5): 495-9.

血圧が気になる方へ

血圧が気になっている人は、できることから高血圧予防を始めてみましょう。

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