薬だけじゃない!血圧チャレンジ宿坊
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高血圧について知る
高血圧の原因

高血圧の原因ってなに?
血圧が高くなる理由を解説

高血圧には原因がはっきりしているものと、原因ははっきりせずさまざまな要因が関わっているものがあります。
医療機関で高血圧の原因や、関連している要因を明らかにして適切な治療を受けましょう。

監修:
鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学 教授 大石充先生

高血圧の原因って何がある?

高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧があります。
日本人の高血圧の80~90%は原因の特定できない本態性高血圧です。

出典:谷津 圭介ほか:
Heart View 19(4):350,2015

本態性高血圧

本態性高血圧症とは、原因のはっきりしていない高血圧のことを指します。
本態性高血圧症は日本人の高血圧の80~90%を占めています。発症には、加齢のほか、体質などの遺伝的な要因や、塩分の過剰摂取、肥満、過度の飲酒、運動不足、ストレス、喫煙といった生活習慣が関係しています。

二次性高血圧

二次性高血圧症とは、原因のはっきりしている高血圧のことを指します。二次性高血圧症は日本人の高血圧の10~20%を占めています。発症には、ホルモン分泌異常、腎臓疾患、薬剤の副作用、睡眠時無呼吸症候群などが関わっています。

本態性高血圧症の要因

本態性高血圧症は原因がはっきり特定できないとはいえ、ほとんどが生活習慣に起因します。
生活習慣以外の要素としては、高血圧になりやすい遺伝的体質や加齢などが挙げられます。

塩分の摂り過ぎ

塩分を摂り過ぎると、体内の塩分濃度を低くするために腎臓が身体から水分が出ていくのを防ごうとします。すると体内の血液量が増え、一度の心拍によって送り出される血液の量も増えるので、血圧が上昇します。

肥満

肥満の人は正常体重の人の1.5~2.5倍高血圧になりやすいと言われています。肥満の人は内臓脂肪の多さや食べ過ぎによる塩分の摂り過ぎ、インスリンの過剰分泌傾向のために、体内の血液量が増加して血圧が上昇します。

過度の飲酒

お酒を長期間にわたって習慣的に過剰に飲むと血圧が上がりやすくなります。このメカニズムは詳しく解明されていませんが、交感神経への刺激や電解質異常などの影響が指摘されています。

運動不足

適度な運動は体内の余分な塩分(ナトリウム)を排泄する働きを強めますが、運動不足になると身体に余分な塩分をためこみやすくなります。肥満の原因にもなり、間接的に血圧上昇の原因となります。

ストレス

ストレスは交感神経を刺激し、血管を収縮させるので血圧が上がります。一時的なストレスによる血圧上昇であれば気持ちが落ち着くとともに血圧も下がりますが、ストレスが慢性的になると血圧が高い状態が続くことになります。

喫煙

喫煙すると交感神経が刺激され、喫煙してから15分ほど血圧の高い状態が続きます。喫煙は動脈硬化のリスクも高めます。動脈硬化は様々な合併症の引き金になってしまいます。※1

加齢

年齢を重ねると血管の弾力性が失われ、血液の流れが悪くなって血圧が高くなりがちです。閉経前の女性は女性ホルモンに守られていて高血圧になりにくいですが、閉経後はホルモンバランスの変化で交感神経が優位になりやすく、血圧が上がりやすくなります。

体質

遺伝的な体質も高血圧のなりやすさに関わっています。両親とも高血圧の場合、子どもが高血圧になる確率は約50%、親のどちらかの場合は約30%と言われています。一緒に暮らす家族は生活習慣も似ることから、高血圧の人の家族には高血圧の人が多くなりやすい傾向があります。※2

出典:
※1 Groppelli A, et al. J Hypertens. 1992; 10: 495-499.
※2 苅尾七臣監修 「明快!あなたの処方箋 最新版 本気で直したい人の高血圧) 学研 (2013)

二次性高血圧症の原因

二次性高血圧症の原因にはさまざまな病気が関わっています。ここではその一部の疾患についてまとめています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の人に高血圧が合併しているケースは多く見られます。睡眠時の無呼吸状態から呼吸を再開する過程で急激に血圧が上昇します。また、交感神経の亢進や、定期的な低酸素状態が高血圧の発症と関係していると言われています。

ホルモン分泌異常

体内のホルモンの分泌異常によって起こるのが内分泌性高血圧です。原因として原発性アルドステロン症やクッシング症候群、副腎髄質にできる腫瘍などがあります。

腎臓疾患

腎臓の異常によって起こる高血圧を腎性高血圧といいます。原因として慢性糸球体腎炎、多発性嚢胞腎や腎動脈狭窄などがあります。

薬剤の副作用

薬の副作用で起こる高血圧を薬剤誘発性高血圧といいます。非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド薬、漢方薬、経口避妊薬、交感神経刺激薬などの副作用により高血圧が起こることがあります。また、抗がん剤の一種でも報告があります。

出典:
高血圧治療ガイドライン2019

血圧への影響

日本人の高血圧疾患の大半を占める本態性高血圧症は、原因がはっきりしていないものの、普段の食生活や過度の飲酒、運動不足といった日々の生活習慣が影響しています。
血圧が高いと指摘されたら、病院を受診して生活習慣の改善など必要な高血圧の治療を始めましょう。
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