薬だけじゃない!血圧チャレンジ宿坊
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高血圧について知る
一般的な治療方法

高血圧の治療と対策を解説
血圧を下げるために

高血圧の治療を確実に行うと血圧が下がり、脳卒中や心疾患などの病気のリスクを減せると考えられています。
本態性高血圧の治療には主に2つの方法があります。それは生活習慣の改善と薬物療法です。

監修:鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学 教授 大石充先生

生活習慣の改善について

生活習慣の改善は非薬物療法ともよばれ、高血圧治療の基本です。塩分量の管理や継続的な運動などがあげられます。

なぜ生活習慣の改善が大事なのか?

生活習慣の改善を行うことで、血圧を下げることが期待できます。降圧薬を服用している場合には、さらに降圧効果が得られる可能性があります。長期的な生活習慣の改善が血圧を下げ、それにより心疾患や脳卒中の発症リスクが軽減されます。

生活習慣改善のために有効な取り組み

生活習慣の改善により、降圧効果が期待できます。

塩分制限
高血圧の生活習慣の改善において塩分量を減らすことは何より重要です。1日あたり6g未満にすることを目標とします。
栄養素と食事パターン
カリウムはナトリウムを排出する働きを持つため、積極的に摂りたい栄養素です。特に野菜、果物に多く含まれています。
適正体重の維持
肥満と高血圧発症の関係性が強いことは、多くの研究で発表されています。BMI※が25未満になるよう、体重を管理しましょう。

※BMI=体重(kg)÷身長(m)2

運動
有酸素運動の降圧効果は各種研究で報告されています。運動は定期的に(可能であれば30分以上持続)無理なくチャレンジしましょう。
節酒
多量の飲酒、長時間にわたる飲酒は血圧上昇の原因のひとつ。エタノールで男性は20〜30mL/日(ビールは中ビン1本)以下、女性では10~20mL/日以下に制限しましょう。
禁煙
1本の紙巻きタバコで、15分以上血圧上昇が持続します。高血圧だけでなく動脈硬化、がんの危険因子でもあるので、百害あって一利なし。
生活習慣の改善をするにあたり多くの患者さんが直面する課題は、
「何を始めたらいいのかわからない」
「やり始めたはいいが続けられない」
ということではないでしょうか。

医療機関では高血圧などの生活習慣の改善について、医師や管理栄養士が指導します。最近では医師が、治療補助アプリを処方して指導をすることもあります。

治療補助アプリとは

治療補助アプリは、医療従事者の介入が難しい、診療と診療の間の家庭での生活において、患者さんの生活習慣の改善をサポートするアプリです。

生活習慣の改善が一番難しい…

生活習慣を改善しようとしても、今までやっていなかったことを始めたり、それを習慣化したりすることは難しいことです。医療機関を受診すると、医師や管理栄養士から生活習慣のアドバイスや指導を受けられます。また最近では、治療補助アプリを使いながら、生活習慣の改善に取り組める場合があります。

薬物療法について

血圧を下げるための薬を降圧薬と言います。
降圧薬には大きく分けて、血管を拡げる薬と体内を循環する血液の量を減らす薬があります。前者にはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)などがあり、後者には利尿薬があります。
ARBやACE阻害薬などの降圧薬で目標まで血圧が下がらない場合、利尿薬やカルシウム拮抗薬などの薬を併用することがあります。
それぞれの降圧薬の特徴は以下の通りです。

処方される薬の特徴

カルシウム拮抗薬
カルシウム拮抗薬は血管の筋肉に対するカルシウムの働きを抑えることで、血管を拡張して血圧を下げる効果があります。
カルシウム拮抗薬はアンジオテンシン受容体拮抗薬/アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬と並んで、現在、高血圧で最もよく使われる薬のひとつです。
アンジオテンシン受容体拮抗薬/
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
血管の収縮や血圧の上昇を促す物質の生成を阻害したり、受容体への結合をブロックしたりすることで血圧を下げます。
アンジオテンシン受容体拮抗薬はARBと略称され、アンジオテンシン変換酵素阻害薬はACE阻害薬と略称されます。
利尿薬
血管から食塩と水分(血流量)を抜いて血管壁にかかる圧力を少なくし、血圧を下げます。
血圧を下げる以外にも、体のむくみなどを軽減するためにも使われます。
β遮断薬(含αβ遮断薬)
β遮断薬は交感神経刺激が心筋に伝わるのを抑え、心臓の過剰な働きを抑えることで降圧します。このため、脈拍の速い人などに使われます。
α遮断薬は、交感神経末端のα1受容体を選択的に遮断し、末梢血管拡張作用によって降圧を促します。

出典:高血圧治療ガイドライン2019
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf(データアクセス日:2022年6月23日)

まとめ

ここまでお伝えしてきたように、本態性高血圧の治療には「生活習慣の改善」と「薬物療法」があります。
生活習慣の改善はそれ自身による降圧効果だけでなく、薬物療法においても薬の効果を高めたり、薬の量を減らしたりすることが期待できます。

高血圧と言われたら、すぐに受診し、医師の指導のもとで生活習慣の改善を始めましょう。
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