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拡張期血圧とは?
下の血圧・最低血圧について解説

血圧を測定した際、ほとんどの人がその数値を「上の血圧」「下の血圧」と表現していると思います。
どちらも身体の状態を知るための大事な指標ですが、今回はとくに「下の血圧」(拡張期血圧・最低血圧)に注目して概要や基準などについて解説します。

目次
この記事の監修医師
帝京大学医学部 衛生学公衆衛生学講座 教授
浅山 敬 先生

血圧の仕組み

血流が血管の壁に押し付ける力のことを血圧といい、心臓の収縮で全身に送り出された血液によって生じます。
血圧には、収縮期血圧と拡張期血圧と呼ばれるものがありますが、一体どのような違いがあるのでしょうか。

拡張期血圧とは?

心臓が全身に送り出した血液は、最終的に肺を経由して再び心臓に戻ります。
その時、心臓は一時的に血液をため込むため拡張します (拡張期)。
その時間、心臓から出てすぐの血管 (大動脈)が、押し広げられた状態からゆっくりと収縮することで全身の血圧が保たれます。その間の最も低い血圧のことを「拡張期血圧」(最低血圧)と言います。

収縮期血圧との違い

拡張期血圧は心臓に血液をため込んでいるときの血圧で最低の血圧値となり、「下の血圧」と呼ばれるのに対して、収縮期血圧は、血液を全身に送り出すときにかかる圧力のため最高の血圧値となり、「上の血圧」ともいわれています。
私たちの心臓は、1回収縮して拡張する働きで上の血圧と下の血圧が必ず生じることになるのです。
収縮期血圧についてもっと知りたい方は、こちらのページで詳しく解説しています。併せてご覧ください。

収縮期血圧について詳しく見る

拡張期血圧の基準について

拡張期血圧の高血圧の基準値は「家庭血圧」と「診察室血圧」で異なり、以下のようになります。

家庭血圧 診察室血圧
拡張期血圧(最低血圧) 85mmHg以上 90mmHg以上

家庭血圧は家庭でくつろいだ状態で測定した血圧を指します。血圧はさまざまな要因で大きく変動するため、家庭血圧と診察室血圧が一致しません。
一方、診察室血圧とは、その名前の通り、診察室で医師や看護師などによって測定された血圧のことです。待合室や健診会場で測定した血圧も診察室血圧に含まれます。また、診察室だけで血圧が上がってしまう「白衣高血圧」というものもあります。
そのため、家庭血圧と診察室血圧では、それぞれ異なる基準値が定められています。

家庭血圧の基準
家庭血圧は、収縮期血圧とあわせて135/85mmHg以上が高血圧の基準です。診察室血圧と家庭血圧の診断に差がある場合は、家庭血圧での診断を優先し、服薬治療や評価に使用することが推奨されています。
そのため家庭で血圧を正しく測ることは、血圧管理においては非常に重要になります。
血圧の測り方について詳しく見る
診察室血圧の基準
診察室血圧については、収縮期血圧とあわせて 140/90mmHg以上が高血圧となります。
たとえ普段の血圧が正常範囲内であっても、診察室血圧で血圧が140/90mmHgを超えるという場合は要注意です。
出典:日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019
高血圧の基準について詳しく見る

拡張期血圧が高いと良くない理由

拡張期血圧が高いことでどのような影響があるのでしょうか。ここでは、拡張期血圧が高くなる原因や治療方法を解説します。

原因
拡張期だけが高い場合、動脈硬化の進行中で末梢血管の抵抗が増しているものの、大動脈の弾力性は”まだ”保たれているという状態が考えられます。とはいえ、これで安心というわけではありません。収縮期血圧を改めて評価したり、二次性高血圧が隠れていないか確認する必要があります。また、拡張期血圧が高いことは長期的な心血管リスクの兆しでもありますので、医療機関を受診していない場合は、医療機関を受診することをおすすめします。
高齢者では、動脈硬化が加齢によりさらに進んでいるため、大動脈の柔軟性は低下しており、拡張期血圧は低下する傾向があります。それなのに高齢者で拡張期血圧が高い場合は、やはり医療機関で詳しくみてもらうと良いでしょう。
高血圧の原因として加齢のほかに、動脈硬化の引き金となる食生活や肥満、運動不足、喫煙などの生活習慣、二次性高血圧などが原因のひとつとされています。
生活習慣対策
動脈硬化を進行させないよう、正しい食生活を心掛け、運動習慣をつけるようにしましょう。
食生活を見直す場合はまず減塩を確実に行いましょう。高血圧の場合には1日6g未満が目安とされています。そのほかにも、過度な飲酒を避け、カリウムが豊富な野菜を積極的に食べるようにしましょう。

出典:日本高血圧学会:高血圧治療ガイドライン2019

まとめ

拡張期血圧についてはそれだけで判断するのではなく、収縮期血圧と拡張期血圧の差(脈圧)や、二次性高血圧の精査等も含めて医師の診察が必要になります。
医療機関を受診し、医師のアドバイスを受けるようにしましょう。
また、なるべく薬を飲まずに生活習慣の改善をして血圧を下げたい場合においても、医療機関で相談してみることをお勧めします。

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