あなたの診察/検診時の血圧は?
あなたの血圧は、正常血圧です!
この血圧を維持できるように適切な生活習慣を心がけましょう。あなたの血圧は、正常高値血圧です!
生活習慣の改善を行いましょう。
3〜6か月後に再度血圧の測定を行い、高血圧でないか確認しましょう。
※まずは医師に相談しましょう。
あなたの血圧は、高値血圧です!
生活習慣の改善を積極的に行う必要があり、通院を強く推奨します。
あなたが今行うべき血圧の管理方法を確認しましょう。
※まずは医師に相談しましょう。
あなたの血圧は、高血圧です!
生活習慣の改善を積極的に行う必要があり、通院を強く推奨します。
あなたが今行うべき血圧の管理方法を確認しましょう。
※まずは医師に相談しましょう。
あなたが今行うべき血圧の管理方法は?
あなたが今行うべき血圧の管理方法は?
医療機関への通院を推奨します
3か月後に血圧の測定を行い、高血圧でないか確認しましょう。
生活習慣も意識してみましょう。
医療機関への通院を推奨します
生活習慣の改善を積極的に行いましょう。
3か月後に血圧の測定を行い、高血圧でないか確認しましょう。
高血圧は日本で患者数が一番多い病気です。また糖尿病も内科で診る病気の中で三番目に多く、年々増え続けています*1。これらの2つの病気は、肥満、喫煙、運動不足などといった共通の原因によって引き起こされます。
このようにもともとどちらも患者数が多い上に、病気に至る原因に共通点があるため合併している患者さんが多いことが知られています。高血圧に糖尿病が合併している場合、心疾患や脳卒中などの深刻な病気を引き起こすリスクが高まることが知られています。
しかし、高血圧、そして糖尿病の初期には症状がほとんどないため、両者共に健康診断で指摘されることが多い病気となります。
より重い病気にならないために「高血圧」と「糖尿病」はより早い段階からしっかり治療・管理することが大切です。
今回は、糖尿病と高血圧の関係について解説します。
まずは、それぞれの病気について簡単に紹介します。
高血圧はその文字の通り、血圧が高い状態を指します。診察時の収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上もしくは拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上の状態を示した場合や家庭血圧が収縮期血圧(上の血圧)135mmHg以上もしくは拡張期血圧(下の血圧)が85mmHg以上の状態を示した場合に診断されます。また、収縮期血圧(上の血圧)が130mmHg以上もしくは拡張期血圧(下の血圧)が80mmHg以上の状態を示した場合や家庭血圧が収縮期血圧(上の血圧)125mmHg以上もしくは拡張期血圧(下の血圧)が75mmHg以上の状態を示した場合は高値血圧と呼ばれ、生活習慣の是正が必要となり、さらに脳心血管病のリスクが高い場合には薬物治療の適応となることがあります*2。
糖尿病は、1型糖尿病と生活習慣の乱れ等で発症する2型糖尿病があります。今回は2型糖尿病について触れていきます。2型糖尿病は血液中の血糖を下げるインスリンというホルモンがうまく作れなかったり、機能しなくなることによって血糖が高い状態(高血糖)が続く病気です。診断にはいくつかの検査項目を利用しますが、そのうち主な診断基準の項目として血糖値の値と過去1〜2ヶ月間の平均的な血糖レベルがわかるHbA1c(ヘモグロビン エー ワンシー)の値で判断していきます。
上記いずれかに当てはまる場合を糖尿病型と判定します。この糖尿病型が持続的に確認された場合もしくは最初から両方が当てはまった場合に糖尿病と診断されます。また、空腹時血糖値が110mg/dL以上もしくは随時血糖値が140mg/dL以上、HbA1c(ヘモグロビン エー ワンシー)が6.0%以上では境界型糖尿病、もしくは糖尿病の疑いがあり、より詳しい検査や生活習慣の是正が必要となります*3。
高血圧や糖尿病になってしまう原因として、いくつか共通の生活習慣の乱れがあります。これらの生活習慣の乱れが一つもしくは複数が日常的に続くと、高血圧や糖尿病になってしまうリスクが上がります。具体的には、以下のことが関わっています。
高血圧と糖尿病になる原因がいくつか共通していることから、これらの病気は合併しやすいことが知られています。高血圧と糖尿病は単独でも血管が硬くなってしまう動脈硬化を進行させますが、これらの危険因子が重なると、より動脈硬化を進行させてしまうため、より厳格な治療が必要なのです。さらに、高血圧と糖尿病は、心疾患や脳卒中などの深刻な病気を引き起こす「メタボリックシンドローム」と呼ばれる状態に関連しています。
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積に加えて高値血圧、高血糖、脂質代謝異常の問題が同時に2つ以上存在する状態を指します。これらの病気が共存することでより深刻な病気を引き起こす可能性があるため、生活習慣の是正を中心とした治療が必要となります。
先ほど高血圧と糖尿病は合併しやすいことについて触れましたが、実際にどれくらい合併しているのかについて紹介します。
まず日本国内での高血圧と糖尿病を患っている人数は、厚生労働省から発表された「令和2年患者調査」によれば、高血圧の患者数は約1503万人、糖尿病患者数は約370万人であり、内科で診る病気の第1位と第3位でいずれも年々増えています*1。これは現代の食事や生活習慣が大きな影響を与えていると考えられます。そこで両病気の合併率ですが、糖尿病患者での高血圧の合併率は非糖尿病患者の約2倍高く、また高血圧患者での糖尿病の発症率は、高血圧でない人と比べて約2~3倍高いことがわかっています*2。
糖尿病の方は、糖尿病でない方と比べて脳卒中(脳梗塞・脳出血)や冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)による死亡率が3.7倍高いと報告されています。また、血圧値が高いほど死亡リスクが高くなることが分かっています*3。日本人での糖尿病の合併症予防効果を検討した研究では、血圧値を120/75mmHg未満に設定した強化療法群の方が、130/80mmHg未満の従来療法群より脳卒中は58%、冠動脈疾患は14%減少したと報告されました。この結果より、より厳格な血圧のコントロール、つまり血圧を下げることによってこれらの病気の発症を有意に減少させると考えられています*2。このため、糖尿病を合併している人では、厳格な血圧コントロールが必要です。
糖尿病を合併している方の降圧目標は、診察室血圧で130/80mmHg未満、家庭血圧で125/75mmHg未満です。一般的には、この降圧目標を守った治療が勧められます。しかし、この降圧目標は病状により変更され、絶対的なものではありません。すでに末梢動脈疾患や冠動脈疾患などの動脈硬化性の疾患を合併している場合には病状に応じて変更されることもあります。ご自身の治療目標を確認するためには、まず医療機関を受診し、主治医と相談しながら高血圧の治療を受けることが大切です。
また、糖尿病と高血圧を合併した方の食事の注意点としては、1日6g以下への減塩、また標準体重を基本とした適切なカロリー摂取が重要です。
運動療法としては、特に有酸素運動が勧められます。ややきついと感じる程度の速歩や軽いジョギングなどの運動を1回につき少なくとも10分以上持続し、合計して1日40分以上行うことが推奨されています*2。このような食事、運動療法を日常生活に取り入れ、継続することで糖尿病・高血圧の両方の病気とも改善が期待できるのです。
高血圧と糖尿病は原因が複数共通しているため、合併しやすい病気です。また、これらの2つの病気はともに動脈硬化の危険因子であり、合併することでより動脈硬化が進行し、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や冠動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)が起こりやすくなります。動脈硬化を進行させないためにも、血圧値と血糖値のより厳格なコントロールが必要となります。これらの2つの病気が合併している場合は、片方だけではなく、両方とも一緒にコントロールすることで心筋梗塞などの深刻な病気の発症を予防できます。
両方の病気ともにより早い段階から生活習慣の是正や治療を行うことで重い病気の予防が可能となります。しかし、高血圧、糖尿病初期には症状がほとんどないため、病気がなくても定期的な健康診断を受けて、異常が出た場合には早い段階で治療をはじめることが重要です。また、高血圧がある方は糖尿病の発症に気を付け、糖尿病がある方は高血圧の発症に気を付けましょう。最後に、「高血圧や糖尿病なんて、普段暮らしていて何にも困るところはないからほっといても大丈夫」なんて思わずに、きちんと受診し医師に相談しましょう。
*1 日本生活習慣病予防協会.最新の患者調査(厚生労働省)より、国民の健康状態について分析.
https://seikatsusyukanbyo.com/calendar/Table01.pdf
*2 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会. 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版株式会社. 2019. 124p. 978-4-89775-386-7 C3047
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf
*3 日本糖尿病学会糖尿病診療ガイドライン2019. 南江堂. 2019. 446p. 978-4-524-24148-4
http://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4