高血圧の生活習慣改善に注力している病院をさがす

おすすめの食べ物もご紹介
血圧を下げる方法とは?

高血圧を指摘された場合、血圧を下げるためにどんなことを意識したらいいのでしょうか?
ここでは、血圧を下げるために日々の生活の中で実践できることを解説します。 

目次
この記事の監修医師
横浜市立大学附属市民総合医療センター
腎臓・高血圧内科
平和 伸仁 先生

血圧の基準値について

日本人の高血圧患者の大半が「本態性高血圧」といわれています。
「本態性高血圧」は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられます。
高血圧治療ガイドライン2019では、診察室血圧140/90mmHg以上の場合を高血圧と診断すると診断基準を定めています。また自宅で測る家庭血圧の場合は、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。
一方で、正常血圧は診察室血圧120/80mmHg未満と定められています。

収縮期血圧
(最高血圧)
拡張期血圧
(最低血圧)
診察室血圧 ≧ 140 かつ/
または
≧ 90
家庭血圧 ≧ 135 かつ/
または
≧ 85

出典:日本高血圧学会, 高血圧治療ガイドライン2019

血圧を下げる方法

では、高血圧と診断された場合、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
ここからは、血圧を下げるための方法を大きく2つにわけてご紹介します。

1.生活習慣の改善

まずは日々の生活習慣の見直しから始めると良いでしょう。 食事や運動、体重管理、嗜好品の見直しなどを行います。

血圧を下げる効果のある、生活習慣の改善方法
血圧を下げる効果のある、生活習慣の改善方法
塩分制限
高血圧患者における食塩摂取量を「1日6g未満」にすることを推奨しています。 しかし、日本人の食生活は塩分が多くなりやすいため注意が必要です。和食でよく使用するしょうゆやみそをはじめとする調味料には、塩分が含まれるため、できる限り出汁を効かせたり、薬味などで香りを効かせるなどして、全体的に薄味を意識するとよいでしょう。ラーメンなどの麺類の汁を全部飲んでしまうと、それだけで6g近い塩分を摂ってしまうため注意が必要です。
栄養素と食事パターン
塩分を意識しつつ栄養素や食事パターンを見直すことで、血圧へ良い変化が期待できます。
特に、野菜や果物、大豆製品に豊富に含まれる「カリウム」は、腎臓から食塩を排出しやすくする働きがあるので、普段の食事に意識的にサラダを追加することから始められるとよいでしょう。
ただし、腎臓に疾患がある方はカリウムの摂取に制限が必要な場合があります。また、乳製品に多く含まれる「カルシウム」にも、血圧を安定させる効果が期待できます。

さらに、食事パターンを見直すことも有効であると報告されています。
野菜や果物、低脂肪乳製品が豊富で、飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事(DASH食; Dietary Approach to Stop Hypertension)にさらに減塩を組み合わせた食事(DASH-sodium食)がよいとされています。
適正体重の維持
肥満と高血圧の発症頻度には因果関係があるという報告があります。
また、体重と身長から算出されるBMIの高値は高血圧の危険因子です。日本では、Body Mass Index (BMI:[体重(kg)]÷[身長(m)]2)≧25kg/m2)を肥満と判定されています。
BMI25未満を維持することが、血圧を下げるためにも推奨されています。
運動
高血圧をはじめ生活習慣病の予防や治療には、ゆっくりとしたジョギングやランニングのような有酸素運動を推奨されています。毎日30分、または週に180分以上行うことが推奨されています。
またスクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操などの標的とする筋肉に抵抗をかける動作を繰り返し行うレジスタンス運動やストレッチ運動も組み合わせることで、骨格筋量維持へつながり、高血圧だけでなく骨粗鬆症や腰痛などの予防も期待できます。
ただし、安全性を考慮し、高血圧症における運動強度は中等度強度(ややきつい)に留めるべきとされています。
節酒
飲酒習慣は血圧上昇の原因となると言われています。毎日続けることで上昇へと転じます。
飲酒の習慣がある場合、エタノールを男性は20~30mL /日以下、女性だと約半分の10~20mL/日以下に制限することが推奨されています。
※20~30mL:おおよそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキーダブル1杯、ワイン2杯相当
禁煙
喫煙が高血圧発症の引き金となる可能性があります。
喫煙習慣がある方は、禁煙が必要です。禁煙後は食生活の変化による体重増加に注意が必要です。

出典:日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019、日本肥満学会. 肥満症診療ガイドライン2016

2.薬物療法

薬物治療が必要と判断された場合、主にCa拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬等が降圧薬として選択されます。
服薬を開始した場合であっても、生活習慣の見直しも合わせて行うことで、さらに降圧への効果が期待できるとされています。

出典:日本高血圧学会. 高血圧治療ガイドライン2019

血圧を下げるためにまずは受診を

高血圧を指摘された場合は、医療機関へ受診することが大切です。薬物療法だけでなく、生活習慣の修正を医療機関でも相談することも可能です。ご自身にあった治療法を医師と相談しましょう。

お役立ち情報一覧