薬だけじゃない!血圧チャレンジ宿坊
薬だけじゃない!血圧チャレンジ宿坊
高血圧について知る
お役立ち情報

高血圧と脳梗塞の関係について
放っておくと怖い合併症について解説

脳梗塞の原因としてよく高血圧があげられますが、両者はどう関係しているのか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
高血圧があると、常に血管内の圧力が強くなり、血管には大きな負担がかかります。
血管内の圧で傷んだ血管の壁は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが侵入しやすい状態となり、やがて厚みを増し硬くなり、その血管に「動脈硬化」を招きます。
この動脈硬化が全身の血管に起こることで、脳梗塞をはじめとするさまざまな病気を引き起こします。
本記事では、高血圧と脳梗塞の関係や合併症、予防策などについて詳しく解説します。

目次
この記事の監修医師
国際医療福祉大学大学院医学研究科 循環器内科学・福岡薬学部 教授
岸 拓弥 先生

脳梗塞とは?

脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化により細くなったり、血液が固まってできた血栓が詰まったりして、その先にある細胞への血流が途絶えてしまう病気です。
血流が止まると、細胞に酸素や栄養が供給されなくなり、その状態が長く続くことで脳細胞の一部が壊死してしまいます。
一方、脳の血管が破裂して脳細胞の一部に障害をきたす状態を「脳出血」や「くも膜下出血」といい、脳梗塞と合わせて「脳卒中」と呼んでいます。

症状

脳梗塞は、ほとんどの場合発症するその日までこれといった症状が出ないことが特徴です。
しかしひとたび、脳梗塞を起こすと、梗塞が起きた部分の脳への血流が途絶え、脳細胞が壊死してしまうことによってさまざまな症状が現れます。
最も多いのが運動障害で、半身のどちらかに力が入らない、掴んだものを落とす、傾いてまっすぐ歩けない、顔面の片側が下がっている、水を飲むとどちらかの口からこぼれるなどの症状が出ます。
また、急に呂律が回らなくなる、思い通りのことばが出てこないなどの言語障害も多く見られます。
他に、感覚障害や視覚障害、意識障害などが出ることもあり複合して現れるケースまでさまざまです。
適切な治療を早期に受けることで症状が無くなる可能性もありますが、半身麻痺や失語症などの後遺症が残り、以後の生活に支障をきたすことがあります。
治療を受けるまでの時間が早ければ早いほど、目立った後遺症がなく完治できる可能性が高くなります。

脳梗塞の分類

脳梗塞は、原因によって以下の3つのタイプに分類されます。

ラクナ梗塞
脳の深い部分にある細い血管が詰まってしまう脳梗塞を、ラクナ梗塞といいます。
ラクナというのは、ラテン語で「小さなくぼみ」という意味です。
ラクナ梗塞が起こるのは非常に細かい血管で障害部位が小さいため、意識障害を起こさないのが特徴です。
アテローム血栓性脳梗塞
悪玉コレステロールなどの脂肪が、血中でドロドロとした粥状になったものを「アテローム」と呼びます。
そのアテロームが血管の内壁に血栓を作ることで血管が狭くなったり、その血栓が剥がれ落ちてより深い部位で詰まったりした状態が、アテローム血栓性脳梗塞です。
従来は欧米人に多いとされていましたが、食生活の多様化により日本でも増えてきています。
とくに、動脈硬化のリスクが高い高血圧症や糖尿病などを患っている人に多くみられる脳梗塞です。
心原性脳塞栓症
心原性脳塞栓症とは、心臓にできた血栓が、脳に酸素や栄養を供給する血管を詰まらせることで生じる脳梗塞です。
不整脈、特に心房細動や心臓弁膜症など心臓に機能障害を抱える人に多く、大きな血管を閉塞して重度の脳梗塞を起こすケースも少なくありません。
何の前触れもなく意識障害を起こすパターンが多く、速やかに適切な処置を行なわなければ死に至る可能性があり非常に危険です。

高血圧のその他の合併症について

ここまで、高血圧と脳梗塞の関係性をみてきましたが、高血圧による動脈硬化の進行に関連してリスクが高まる疾患は脳梗塞だけではありません。
動脈硬化の進んだ血管では、十分な酸素と栄養が供給できず届く先の臓器でさまざまな影響が起こります。

心臓
最も影響が大きくなるのが心臓です。
心臓に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こり、心臓の筋肉(心筋)への血液量が足りずに心筋が痺れた状態を「狭心症」、血栓で冠動脈が完全に詰まって血流が止まってしまい心筋が壊れる(壊死)状態を「心筋梗塞」と呼び、最終的に「心不全」に至る危険性があります。
腎臓
高血圧は、腎臓の働きにも深く関係しています。
腎臓の血管に動脈硬化が起こると、十分な血液量が確保できない腎臓は硬化していき「腎硬化症」を招きます。
その状態が続くと、今度はろ過機能が低下してしまい慢性腎臓病(CKD)が進行します。
慢性腎臓病が進行し腎臓の機能が破綻すると、生命維持のためには人工透析や腎移植をする必要となる場合があります。

他にも、大動脈瘤や閉塞性動脈硬化症など血管の病気、眼底出血や高血圧性網膜症など眼の病気などを発症する可能性があります。

高血圧を予防するために

高血圧の方においては、血圧の治療を行うことが、脳や心臓、腎臓に疾患を引き起こすリスクを予防することにつながります。

高血圧治療は原因などにより、ご自身に合った方法を選択することが必要です。高血圧治療は薬物療法だけでなく、生活習慣の改善なども含まれます。生活習慣の改善についても医療機関で相談することができます。血圧が高い状態の場合は、医療機関を受診し、相談してみましょう。

高血圧の予防について詳しく見る

お役立ち情報一覧

高血圧の薬と治療法|降圧薬の種類・効果・最新治療プログラム

高血圧の薬と治療法|降圧薬の種類・効果・最新治療プログラム

高血圧は日本人にとっておなじみの病気ですが、治療を受けて血圧のコントロールが良好な患者さんは全体の1/4程度にとどまると言われています。

詳しく見る
知っておきたい、災害時の血圧管理 避難生活や防災で気を付けたいポイント

知っておきたい、災害時の血圧管理 避難生活や防災で気を付けたいポイント

災害時には、被災前に良好であった血圧が上昇することが報告されています。それは普段飲んでいる薬が持ち出せなかったなどの薬不足にも起因しますが、それだけでなく、震災後の各種ストレスや環境も大きな要因となり得ることがわかっています。

詳しく見る
高血圧とデジタル医療

高血圧とデジタル医療

「高血圧」と「デジタル」一見関わりがないようで、実は様々な面でこの二つは現在深く結びついています。ここでは、高血圧とデジタル医療について解説していきます。

詳しく見る
高血圧と糖尿病は合併しやすいって本当?高血圧と糖尿病の深い関係性

高血圧と糖尿病は合併しやすいって本当?高血圧と糖尿病の深い関係性

高血圧は日本で患者数が一番多い病気です。また糖尿病も内科で診る病気の中で三番目に多く、年々増え続けています。これらの2つの病気は、肥満、喫煙、運動不足などといった共通の原因によって引き起こされます。

詳しく見る
高血圧の方必見!入浴するときの注意点​ ​​入浴前と風呂上がり時

高血圧の方必見!入浴するときの注意点​ ​​入浴前と風呂上がり時

入浴は体を清潔にするだけではなく、日々の疲れを癒すことで、好きな方も多いかもしれません。しかし、特に寒い冬場の入浴は急激な体温の変化で血圧が大きく上下に変動し、風呂場で失神したり、不整脈や心筋梗塞などを起こしてしまった方をニュースやテレビ番組で耳にした方もいるかもしれません。

詳しく見る
血圧を下げる可能性が報告されている5つの飲み物

血圧を下げる可能性が報告されている5つの飲み物

血圧を下げるには、食生活の改善が大切です。血圧を下げるための食生活の改善というと「減塩」を思い浮かべる方も多いと思いますが、実は毎日飲んでいる飲み物にも気をつける必要があります。

詳しく見る
高血圧とコーヒーの意外な関係 コーヒー飲むと血圧は上がるの?

高血圧とコーヒーの意外な関係 コーヒー飲むと血圧は上がるの?

「コーヒー(珈琲)は血圧を上げる原因」と言われることがあり、コーヒーを飲むことを控えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、コーヒーと血圧の関係について詳しく解説します。​

詳しく見る
高血圧はオンライン診療と相性が良い?

高血圧はオンライン診療と相性が良い?

この記事では、オンライン診療のメリットや気をつけるべき点、一般的な利用の流れ、オンライン診療の費用について解説します。また、高血圧はオンライン診療と相性が良いのか、についても説明していきます。

詳しく見る
高血圧と頭痛は関係あるの?

高血圧と頭痛は関係あるの?

血圧が高い時に、軽い頭痛、頭重感などの症状が見られることがありますが、大部分は自覚症状がないことが多いです。しかし、高血圧に頭痛を伴う場合、重大な病気が合併していることもあり注意が必要です。高血圧と頭痛の関係について詳しくお話しをします。

詳しく見る
高血圧の予防策を徹底解説!

高血圧の予防策を徹底解説!

高血圧の予防策について、どんなことに気をつければ良いのか、今すぐ始められる取り組み方をご紹介します。

詳しく見る
血圧を下げる方法とは?

血圧を下げる方法とは?

高血圧を指摘された場合、血圧を下げるためにどんなことを意識したらいいのでしょうか?血圧を下げるために日々の生活の中で実践できることを解説します。

詳しく見る
新しい高血圧治療「スマート降圧療法」とは?

新しい高血圧治療「スマート降圧療法」とは?

「スマート降圧療法」とは、新しい高血圧治療であり、お医者さんからの指導と、スマートフォンで“生活習慣の改善”に取り組む治療法です。

詳しく見る
高血圧の人の食事で注意すべきことは?

高血圧の人の食事で注意すべきことは?

高血圧の方が毎日の食事で積極的に摂った方が良い食事、減らした方が良い食品などを具体的にご紹介します。

詳しく見る
仮面高血圧とは?

仮面高血圧とは?

仮面高血圧は、診察室で測定した血圧は正常であるにもかかわらず、家庭など診察室の外で測定すると高血圧に該当することが特徴です。仮面高血圧について詳しく解説します。

詳しく見る
白衣高血圧とは?

白衣高血圧とは?

普段の血圧は低いのにもかかわらず、病院の診察室で測ると血圧が上がるという方がいらっしゃいます。白衣高血圧の概要やリスク、対策について詳しく解説します。

詳しく見る
高血圧における運動療法の効果とは?

高血圧における運動療法の効果とは?

高血圧の治療の基本は生活習慣の改善です。その一環として「運動療法」があります。高血圧における運動効果と運動のポイント、高血圧におすすめの運動の種類まで解説します。

詳しく見る
高血圧と動脈硬化の関係について

高血圧と動脈硬化の関係について

高血圧が要因で動脈硬化が起こることで血管に負担がかかり、さまざまな病気を引き起こします。生活習慣を見直したり、高血圧の治療を行うことで、予防や進行を抑えることが可能です。

詳しく見る
高血圧と診断された場合に控えた方が良い食べ物とは

高血圧と診断された場合に控えた方が良い食べ物とは

血圧が高いと食生活でも注意が必要になります。塩分が高いものなど、血圧が高い場合に摂取を控えるべき食べ物についてご紹介します。

詳しく見る
高血圧によるリスクを解説!

高血圧によるリスクを解説!

自覚症状がなかったり普段の生活に特段の支障がなかったりすると、高血圧のリスクについてピンとこない人もいるのではないでしょうか?高血圧のリスクについて具体的に紹介します。

詳しく見る
高血圧って遺伝するの?

高血圧って遺伝するの?

高血圧になる原因はさまざまですが、家族に高血圧の人がいて自分も遺伝し発症するのではないかと悩んでいる方も多いようです。高血圧が遺伝するのかどうかについて詳しく解説していきます。

詳しく見る
高血圧とストレスって関係あるの?

高血圧とストレスって関係あるの?

ストレスを感じ自律神経が乱れると、心や身体に不調をきたします。実はそれが、血圧の上昇に深く関係しています。ストレスによって血圧が上昇する理由、対策法などについて解説します。

詳しく見る
高血圧と脳梗塞の関係について

高血圧と脳梗塞の関係について

脳梗塞の原因としてよく高血圧があげられます。本記事では、高血圧と脳梗塞の関係や合併症、予防策などについて詳しく解説します。

詳しく見る
高血圧と心不全は関係あるの?

高血圧と心不全は関係あるの?

心不全はさまざまな病気が原因で引き起こされますが、日常的に血管に大きな負担をかける高血圧が最も重要な原因です。心不全の原因や高血圧との関係、心不全の予防策などについて解説します。

詳しく見る
高血圧のときに気をつけたい塩分

高血圧のときに気をつけたい塩分

なぜ高血圧の予防、治療において塩分の摂りすぎに気をつけるべきなのでしょうか?塩分摂取で血圧が上昇する仕組みや適切な摂取量の目安、気をつけたい食事まで具体的にご紹介します。

詳しく見る
服薬をやめることはできるの?

服薬をやめることはできるの?

「高血圧の薬は降圧できたらやめられるの?」このページでは高血圧と診断された方、すでに高血圧の薬を服薬されている方向けに、薬との付き合い方についてまとめています。

詳しく見る
あなたの測り方は大丈夫?

あなたの測り方は大丈夫?

血圧は、たえず変動をしています。この記事では、家庭血圧の正しい測り方や、測定時の注意点などを具体的にご紹介します。

詳しく見る
拡張期血圧とは?

拡張期血圧とは?

血圧を測定した際、ほとんどの人がその数値を「上の血圧」「下の血圧」と表現していると思います。今回は「下の血圧」(拡張期血圧・最低血圧)に注目して概要や基準などについて解説します。

詳しく見る
収縮期血圧とは?

収縮期血圧とは?

血圧を測定した際、ほとんどの人がその数値を「上の血圧」「下の血圧」と表現していると思います。今回は「上の血圧」(収縮期血圧・最高血圧)に注目して概要や基準などについて解説します。

詳しく見る
高血圧と低血圧

高血圧と低血圧

自分の血圧が高いのか低いのかよくわからない。という方も多いようです。血圧の仕組みや、高血圧や低血圧の定義、基準、原因などについて詳しく解説します。

詳しく見る
下の血圧が高い状態とは?

下の血圧が高い状態とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の内壁を押す圧力のことです。本記事では、下の血圧が上がる原因やその影響について解説します。

詳しく見る
高血圧、病院を受診するときはどうすればよい?

高血圧、病院を受診するときはどうすればよい?

健康診断等で「血圧が高い」と言われたけど病院を受診すべきか悩んでいませんか?本記事では、健康診断等で高血圧を指摘されたり、血圧が高いと言われた時にどこの病院を受診するべきか、また何科に受診したら良いかについて解説します。

詳しく見る