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高血圧と心不全は関係あるの?
心臓と血圧の関係について解説

心臓は、全身に絶え間なく血液を送り出すポンプのような役割をしています。
そのポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送れなくなってしまった状態が「心不全」です。
心不全はさまざまな病気が原因で引き起こされますが、日常的に血管に大きな負担をかける高血圧が最も重要な原因です。

そこで本記事では、心不全の原因や高血圧との関係、心不全の予防策などについて解説します。

目次
この記事の監修医師
国際医療福祉大学大学院医学研究科 循環器内科学・福岡薬学部 教授
岸 拓弥 先生

心不全とは?

心臓は常に収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出していますが、そのポンプとしての役割がうまく機能しなくなっている状態を「心不全」といいます。
日本循環器学会と日本心不全学会においては「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」と定義しています。
原因や症状は人によってさまざまですが、突然発症したあるいは急激に悪化した場合を「急性心不全」、心臓の機能は低下しているものの状態が安定している場合を「慢性心不全」と呼んでいます。

心不全では血液循環が悪くなると、心臓か腎臓、血管に十分な血流を供給することができなくなり、動悸や息切れ、疲労感、足のむくみ、体重の増加など、全身にさまざまな症状が現れます。
ただし慢性心不全の場合、心拍数を増やしたり、心臓を肥大させたりして低下した心臓の機能を補おうとします。そのため、初期から症状に気づくことはほとんどありません。

治療を行うことで症状の改善は期待できますが、心不全は増悪、緩解、再発を繰り返すため、継続的に適切な治療を受けることが大切です。

心不全の原因

心不全になる原因となる病気は多くありますが、中でも「虚血性心疾患」「高血圧性心疾患」「弁膜症」は、心不全を引き起こす3大疾患と言われています。
それぞれの病気がどのような機序で心不全に至るのか、以下に詳しく解説します。

1)虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、心臓に血液すなわち酸素や栄養を送るための冠動脈が狭くなったり詰まったりすることで、血液がスムーズに送られず、心臓の筋肉が本来の機能を果たせなくなる状態のことです。
冠動脈が狭くなって血流が悪くなった状態を「狭心症」、冠動脈が詰まって血流が止まってしまい心臓の筋肉が壊死した状態を「心筋梗塞」と呼んでいます。
いずれにしても本来心臓に必要な血流量が確保できていない状態となります。このように、心臓のポンプ機能が悪くなり、動悸や息苦しさなど心不全の症状が現れたり、心不全の症状が現れたり、(まれですが)不整脈による突然死を引き起こすこともあります。
2)高血圧性心疾患
高血圧が原因で心臓の機能に障害が起こっている状態を、高血圧性心疾患といいます。
血圧が高い状態が長く続き血管が硬くなってくると、心臓はより強い圧力をかけて血液を送り出さなければなりません。
それに対応するために、心臓の筋肉が発達して厚みを増し、その結果心臓自体が大きくなった状態が「高血圧性心肥大」です。
それでも血圧が高い状態が続くと、今度は心臓の機能が低下し、徐々に心不全の症状が出るようになります。
治療としては、血圧を正常値に戻すことが重要です。
また、高血圧を適切に管理することで、心不全のリスクを減らすことができます。
3)弁膜症
心臓には4つの部屋があり、全身から戻ってきた血液がそこを通って肺に送り出されたり、肺で酸素をもらった血液を全身に送り込んだりしています。
心臓で血液が次の部屋に押し出される時、心臓の部屋にある弁が逆流するのを防いでいます。弁膜症はその弁に機能障害が生じ、心臓が本来の働きができなくなっている状態を言います。

初めは弁だけの問題ですが、症状が長引いて心筋への負担が続くことで心臓全体に影響を及ぼし、息切れやむくみなど心不全の症状が現れます。

高血圧でなぜ心不全になるのか?

高血圧が続くことで心臓に負荷がかかり、それに対応するために心臓が肥大した結果、心臓の負担がピークに達して心不全の症状が現れ始めます。

高血圧が心不全の直接的な原因になることはあまり知られていませんが、実際に心不全を起こした人の内訳を見ると決して少なくありません。
日本で行われたJCARE-CARDという研究では、慢性心不全の憎悪で入院した患者さんのうち24.6%が高血圧性心疾患による心不全であり、心不全で入院したうち52.6%の患者さんで高血圧が合併したことが明らかになりました。心不全の進行を抑えるために最も重要な因子が高血圧であることがガイドラインに記載されています。(急性・慢性心不全ガイドライン2017)

出典:(Miyuki Tsuchihashi-Makaya, ; Sanae Hamaguchi, ; Shintaro Kinugawa, et al. Circulation Journal; 73:1893-1900;2009)
出典:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

血圧が高い方は血圧を下げることから始めましょう

心不全はさまざまな病気が引き金となって起こりますが、中でも高血圧があると心不全に至るリスクが高くなります。
高血圧と診断されている方は、まずは血圧を正常範囲内に戻すことが重要となるため、生活習慣を見直し生活リズムや食事バランスを整えることが大切です。

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