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高血圧の人の食事で注意すべきことは?
血圧に良いと言われる食品をご紹介

生活習慣病である高血圧における生活習慣の改善は高血圧治療において重要です。
生活習慣の改善の中でも、食事は大きく生活に関わります。
このページでは、どのような食品を選べば良いかをご紹介します。 

目次
この記事の監修医師
大阪大学大学院医学系研究科
保健学専攻 総合ヘルスプロモーション科学講座 教授
神出 計 先生

血圧に良いと言われる食品

さまざまな食品をバランスよく食べることは、健康な身体を維持する基本です。
ここでは、血圧に良いとされる食品についてご紹介します。

カリウムを多く含む食品(野菜・果物・海藻など)
カリウムにはナトリウムを体の外に出す作用があるため、カリウムを含んだ食品は降圧効果が期待できます。
2020年に厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準」によると、目標量(生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)として成人男性は1日3,000mg以上、成人女性だと2,600mg以上が設定されています。

カリウムは、水に溶けやすい性質があります。
生で食べられる食品はそのままで、火を通す場合は出汁やスープごと食べられるよう調理するのが良いでしょう。
ただし、重度の腎障害がある場合は、カリウムを多く摂取することによって高カリウム血症を引き起こす可能性があるため、担当医とよく相談することが大切です。

食品別カリウム含有量(可食部100gあたり)

野菜・きのこ類

ほうれん草 690mg
さといも 640mg
枝豆 590mg
じゃがいも(皮なし) 410mg
トマト 210mg
納豆 660mg
えのきたけ 340mg
かぼちゃ 400mg
とうもろこし 290mg
きゅうり 200mg

果物

果物にもカリウムが含まれているため、高血圧の人にとって良い食品です。
血圧が気になっている人は、下の表を目安に果物を積極的に取り入れてみましょう。
厚労省は健康増進の観点から、1日の摂取目標量は200gとされています。しかし、果物には果糖も多く肥満の原因にもなるため、適正量を心がけるよう注意しなければなりません。糖尿病の方は医師と相談の上で摂取しましょう。

アボカド 720mg
メロン 340mg
さくらんぼ 210mg
いちご 170mg
バナナ 360mg
キウイ 290mg
180mg
りんご 120mg

海藻類

食品の中でも圧倒的にカリウム含有量が多いのが海藻類です。
中でも特に豊富にカリウムを含む食品を以下にご紹介します。
以下にご紹介している食品の他にも、海藻類には不足すると血流が悪くなるカルシウムや血管を拡げる作用があるマグネシウム、動脈硬化の改善に貢献する水溶性植物繊維が豊富に含まれているのもポイントです。

刻み昆布 8,200mg
ひじき 6,400mg
焼きのり 2,400mg
乾燥わかめ 7,400mg
昆布(真昆布) 6,100mg
生わかめ 730mg

出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)、農林水産省 食事バランスガイド

減らした方が良い食品

高血圧の人は塩分の摂取を控えましょう。
禁止というわけではありませんが、日頃から摂取量に気をつけておくと安心です。

塩分摂取量の見直しを

高血圧には、さまざまな生活習慣が関係していると言われていますが、中でも大きな影響を与えるのが「塩分」です。高血圧治療ガイドライン2019では、高血圧の人は一日の総塩分摂取量を1日6gに抑えることを推奨しています。
出典:日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン 2019

では、普段の食事には実際どれくらいの塩分が含まれているのでしょうか。
以下の表で確認してみましょう。

食品の塩分量

食塩(小さじ1) 約5.0g
トマトケチャップ(大さじ1) 約0.6g
有塩バター(大さじ1) 約0.2g
焼きちくわ(1本) 約1.9g
プロセスチーズ(1切) 約0.6g
醤油ラーメン(1人前) 約5.9g
握り寿司(1人前) 約3.6g
濃口醤油(大さじ1) 約2.6g
マヨネーズ(大さじ1) 約0.3g
食パン(6枚切1枚) 約0.9g
塩漬け梅干し(大1個) 約2.2g
ざるそば(1人前) 約3.3g
カツ丼(1人前) 約2.4g
ハンバーグ(1人前) 約1.2g

出典:文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)

日本人の1日の塩分摂取量の平均は男性が11.0g、女性が9.3gと言われていますが、上の表からも少し気を抜くとすぐに1日の摂取量をオーバーしてしまうことが分かります。
特に外食時やインスタント食品、さらにはスーパーやコンビニ食には塩分が多く含まれているため、注意が必要です。
いつもより少し薄味にするだけでも高血圧の改善、予防に効果があるため、日頃から意識してみましょう。
出典:厚生労働省 2017年国民健康・栄養調査

塩分の多い食品

練り製品や加工食品には、思いの外塩分が多く含まれています。
その他、梅干しなどは1粒で2gを超える塩分が含まれている場合もあります。
薄味の食事のアクセントとして少量摂取する分には効果的ですが、多量にとることはできるだけ避けましょう。

食事以外の生活習慣の改善も検討しよう

高血圧の治療には普段からの食事が大切であることは広く知られていますが、その他の生活習慣も大きく関係してきます。
ストレスや睡眠不足による自律神経の乱れ、肥満などは、交感神経優位になりやすいため、適度な運動を心がけてしっかりと休息を取ることが大切です。
食事内容への配慮も重要ですが、適切なストレスへの対処法を自己で確立できるよう工夫してみましょう。

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