株式会社CureApp

CureApp HT 高血圧治療補助アプリ【医療関係者向け】

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座談会「治療補助アプリが切り開く降圧治療(後編)」 座談会「治療補助アプリが切り開く降圧治療(後編)」
司会
大西内科ハートクリニック院長 大西勝也

大西 勝也

大西内科ハートクリニック院長

参加者(五十音順)
勝谷医院院長 勝谷友宏

勝谷 友宏

勝谷医院院長

自治医科大学内科学講座循環器内科学部門教授 苅尾七臣

苅尾 七臣

自治医科大学内科学講座
循環器内科学部門教授

医療法人社団野村医院理事長たかの内科クリニック院長 野村和至

野村 和至

医療法人社団野村医院理事長
たかの内科クリニック院長

医療法人社団ゆみの理事長 弓野大

弓野 大

医療法人社団ゆみの理事長

CureApp HT 高血圧治療補助アプリは、臨床試験HERB-DH1で生活習慣を修正する標準的指導に併用することで血圧を低下させる作用が示された(図1図21)。高血圧治療の基本となる生活習慣の修正で効果を得るのが難しいと実感する臨床医は多いが、それだけに同アプリの臨床への登場に期待が高まっている。後編では、このアプリを臨床で有効に活用するために、適応患者や臨床での位置付けなどについて専門家の方々に議論していただいた。
コミュニケーションや信頼関係の向上に期待
大西 前回は、CureApp HT 高血圧治療補助アプリ(以下、CureApp HT)の有効性と安全性を検討した国内第Ⅲ相臨床試験HERB-DH1の概要を苅尾先生に解説してもらいました。同試験は、『高血圧治療ガイドライン2019』に基づく生活習慣の修正のみを行う対照群と、CureAppHTを用いた管理も行うアプリ介入群の2群による非盲検ランダム化比較試験です。
 主要評価項目とした登録後12週時における自由行動下血圧測定(ABPM)による24時間収縮期血圧(SBP)のベースラインからの変化量は、対照群が-2.5mmHg(95%CI -5.1~0.1mmHg)に対しアプリ介入群では-4.9mmHg(同-7.3~-2.5mmHg)と有意に低下していました(群間差-2.4mmHg、95%CI- 4.5~ - 0.3mmHg、P= 0.024、ベースライン時の血圧値を共変量としたANCOVA、図1図21)
 このCureApp HTが実際に使用できるようになり、診療内容に与える影響、あるいは期待できる点はなんでしょうか。
勝谷 苅尾先生が前回、積極的な栄養指導が降圧に有効であることを示されたように2)、生活習慣の修正は高血圧治療に効果的です。HERB-DH1のデータを見て、デジタル治療は効果が期待できると思いました。
 CureApp HTを使うことで、次の通院までに患者さんが生活習慣の修正について学習し、新たな知識を得ることが期待できます。幅広い知識を持ち、的確に医師とやり取りができるようになれば、より高い効果が見込めるのではないでしょうか。
弓野 CureApp HTを日常診療で使うことで、血圧だけでなく、併存疾患に関するコミュニケーションや互いの信頼関係の向上にもつながることを期待しています。さらに、オンライン診療の急速な発展にも寄与すると考えられ、私もCureApp HTの導入に前向きに取り組みたいと思いました。
アプリを選択し患者情報を入力すれば処方完了
大西 ここで、既にCureApp SC ニコチン依存症治療アプリおよびCOチェッカー(以下、CureApp SC)を導入されている野村先生から、アプリの処方環境についてご紹介いただきます。
野村 こちらは当院の診察室の様子です(写真)。インターネットにつながったパソコンからCureApp SCを処方できるように設定しています。専用のQRコードを患者さんのスマートフォンで読み込んでもらえば、CureAppSCを簡単にインストールすることができます。だいたい1~2分で完了するので、多くの場合、患者さんにはその場で処方コードを入力してもらいます。外来が混雑しているケースでは別室に移動してもらい、看護師と一緒に設定をしてもらいます。
大西 CureApp HTの実際の処方も、同じように簡単にできるようですね(コラム参照)。
写真
たかの内科クリニックでのCureApp SC利用の実際

左:画像閲覧用パソコン、中央:電子カルテ用パソコン、右:インターネットに接続されたパソコン

(野村和至氏提供)

メタボや薬物で管理が難しい患者などが良い適応
大西 続いて、実臨床でCureAppHTが適応になる患者さんについて議論します。どのような患者さんに効果が期待できるでしょうか。
苅尾 臨床試験の結果からアプリが有用と考えられるのは、肥満傾向、食塩感受性があり、塩分過剰で、生活習慣の修正に意欲はあるけれども実行が難しい患者さんです。こうした患者さんに使用して、血圧や体重、塩分の変化を確かめながら継続していくのが良いのではないでしょうか。
野村 私は、降圧薬をなかなか始めようとしない患者さんに勧めるのも1つの手ではないかと思います。
大西 近年、男性では肥満を伴う高血圧の者が増えており3)、男性の肥満者(BMI 25以上)は33.0%まで増加しています4)。実際には、企業健診などで指摘されたメタボリックシンドロームの高血圧患者さんが適していると思いますが、いかがでしょうか。
苅尾 メタボリックシンドロームでも血管が硬くなってしまう前の段階で、比較的早期の高血圧に適していると思います。
勝谷 情報機器に慣れている人、健診でメタボリックシンドロームを指摘されて放置していた人なども候補と考えられます。生活習慣の修正について一通り話しても反応があまりない人に「お試しでこういうものもありますよ」と提示したり、降圧薬の治療中でも減塩や体重の管理が難しい患者さんに勧めたりしたいと考えています。
弓野 降圧薬を服用し続けることや増量することに抵抗のある患者さんは、薬物療法ではない降圧治療に興味を示すと思います。また、治療に難渋している高血圧の患者さんにも、従来とは異なるアプローチを示すことができると考えています。
薬物療法中の患者への異なるアプローチ提示に活用
大西 複数の降圧薬を処方してもSBPが160mmHg程度だった高血圧患者さんを虚血評価などの目的で1週間入院させたところ血圧が大幅に下がり、単剤で管理できるようになった経験があります。この患者さんは、適切な生活習慣が守れていなかったようです。こういった多剤併用例にCureApp HTをうまく使うことで、薬剤を減らすモチベーションを上げられると思います。苅尾先生、この点についていかがでしょうか。
苅尾 患者さんと降圧目標を共有しつつ、医療者側もクリニカルイナーシャ(臨床的惰性)に陥らないよう患者さんとともに勉強して次のアプローチを指導できるよう努める必要があります。CureApp HTは患者さんの経過を確認することができるため、患者さんの頑張りが分かります。患者さんと医療者の双方が責任を持って取り組んでいくことで、真の個別医療が実現すると考えられます。
大西 医療者側に加え、患者さん側のクリニカルイナーシャという概念もあります。CureApp HTを用いることで、こうした問題の解決につながるでしょうか。
勝谷 アプリが「共通言語」になるので、患者さんを褒めるときの材料に使え、それで意欲が向上することが期待できます。もちろん循環器病予防療養指導士にも使ってもらいたいと思いますが、循環器病予防療養指導士や栄養士がいないクリニックでも専門職を補完するツールになりうると思います。
野村 最近は高齢者でもスマートフォンを持っている人が増えています。われわれ医師が「この人は無理だな」と決め付けるのだけは避け、「こういうものがありますが試してみませんか」と伝える姿勢が大事ではないでしょうか。
降圧治療の大きな武器に
大西 CureApp HTはまだ臨床に導入されていないので、今後、われわれが適応患者さんや使用方法などを検討していく必要があります。今後の展望について、最後に一言ずつお話しください。
勝谷 CureApp HTへの期待は本当に大きく、大病院よりもわれわれのようなクリニックで使う機会が増えると考えています。実際使ってみてどうだったか、良い例、悪い例をフィードバックし、メーカーの方にもより良いもの、安全なものを目指していただきたいと思います。
野村 栄養士がいない施設でも、高血圧患者さんがCureApp HTで正しい情報を知り、行動変容につながることを期待しています。従来の治療や生活指導で血圧が下がらなくても諦めずにCureApp HTを新しい選択肢として試してみるべきだと感じました。
弓野 CureApp HTは、モニタリングだけでなく治療まででき、特に双方向で情報が確認できる点に可能性を感じました。高血圧治療だけではなく、患者さんの生活全般の質を高める上で、さらなる発展を期待しています。
苅尾 デジタルの活用は、医療の簡素化でなく、質を上げるという観点が重要です。医師では介入できなかった患者さんの個別性をCureApp HTで補助してもらい、われわれ自身も患者さん一人一人に向き合って、取り組めるということが期待できます。われわれは世界で初めてのアプローチ法を手にすることになりますから、うまく個別医療に活かす形で発展させていきたいと考えています。
大西 最近は「成長」「分配」という言葉をよく聞きますが、高血圧治療においては、ガイドラインや大規模臨床試験で良い治療を行っていくことが「成長」であり、標準治療で改善できない人たちを助ける個別医療が「分配」に当たると思います。こういうツールを用いることにより、患者さんの行動変容、共通言語の共有、チーム医療などにおいて新たな医療の局面がもたらされるでしょう。限られた資源の中で、患者さんに新たに提示できる選択肢として、非常に大きな武器を得たと感じています。本日は貴重なお話をありがとうございました。
図1
国内第Ⅲ相非盲検ランダム化比較試験 HERB-DH1の試験概要および安全性
目的:
薬物治療を受けていない本態性高血圧患者に対する CureApp HT 高血圧治療補助アプリの有効性と安全性の検討
対象:
本態性高血圧患者のうち、食事・運動療法などの生活習慣の修正を行うことで降圧効果を十分に期待できると医師が判断した者主要な選択基準は、
①降圧薬による内服治療を受けていない高血圧患者(Ⅰ度またはⅡ度高血圧)
②20歳以上65歳未満
③スマートフォン(iOSまたはAndroid搭載)を日常的に携帯している
④スクリーニング期自由行動下血圧測定(ABPM)による血圧の平均値が収縮期130mmHg以上-など
主要な除外基準は、二次性高血圧症又はその既往など
主要評価項目:
治験登録後12週時におけるABPMによる24時間の収縮期血圧のベースラインからの変化量
副次評価項目:
治験登録後12週時および24週時における次の項目
①早朝家庭血圧(収縮期血圧)のベースラインからの変化量
②体重およびBMIのベースラインからの変化量
③塩分チェック問診票によるスコアのベースラインからの変化量
④アプリ介入群のアプリ使用状況-など
安全性評価項目:
有害事象および本アプリの不具合
解析計画:
第一種の過誤(α=0.05)、検出力90%を考慮した上で、本試験における例 数を設 定した。血 圧 値(ABPMおよび 家 庭 血 圧)は、FAS(Full AnalysisSet)を対象としてアプリ介入群/対照群別、施設、薬物治療歴の有無を因子とし、ベースライン時点の血圧値を共変量とした共分散分析(ANCOVA)を用いて解析した。その他の評価項目(体重、BMIおよび塩分チェック問診票によるスコアのベースラインからの変化量)は対応のないt検定を用いて解析した。
有害事象:
全ての有害事象について、本アプリとの因果関係は否定されました。重篤な有害事象として、肺塞栓症がアプリ介入群で1例、リンパ腫加療のための治験中止申し出が対照群で1例発現しました。また、治験中止に至った有害事象として、狭心症がアプリ介入群で1例、対照群において、高度の視力障害、頭蓋内動脈瘤、喘息がそれぞれ1例ずつ発現しました。死亡例は認められませんでした。
本アプリの不具合:
登録後12週までに21.0%(42/200例、47件)、24週までに24.0%(48/200例、57件)で不具合が認められました。重篤な有害事象を引き起こすおそれがあると認められる不具合報告はなく、スマートフォンと家庭血圧計とのペアリング関連の不具合が36件/57件と最も多くみられました。

(承認時評価資料:本結果はKario K, et al. Euro Heart J 2021; 42: 4111-4122. にも掲載)

図2
12 週後における収縮期血圧のベースラインからの変化

(承認時評価資料:本結果はKario K, et al. Euro Heart J 2021; 42: 4111-4122. にも掲載)

■文献

  1. Kario K, et al. Euro Heart J 2021; 42:4111‒4122.
  2. Nakano M, et al. J Clin Hypertens 2016;18: 385-392.
  3. Nagi M, et al. Hypertens Res 2015; 38:790-795.
  4. 厚生労働省. 令和元年国民健康・栄養調査.
    COI:1)は株式会社CureAppからの支援あり
コラムCureApp HTの利用方法
  1. CureApp HTの処方にあたっては、まず、APS(アプリ処方サービス)を医療機関様のパソコンにセットアップします
  2. 処方の際は、「APS」を立ち上げ、患者さんの情報を入力し処方コードを発行します。
  3. 患者さんのスマートフォンにCureApp HTのアプリをインストールします。アプリに医療機関で発行された処方コードを入力することで、患者さんはアプリの利用を開始できます。

アプリ内のキャラクターが高血圧治療の必要性、減塩のテクニック、ストレスのコントロールなどについて一通り教えてくれます

※画像はイメージです